いきなり腰が痛い!足が痛い!ヘルニア?治療ってどうするの?
今回は腰椎椎間板ヘルニアの治療方法について説明していきましょう。
もちろん治療方法には手術をしない保存加療と手術加療があり、椎間板ヘルニアの多くは保存加療で治ることが多いです。
日常の診療では約7−8割の人は保存加療で改善している印象です。
では保存加療から説明していきましょう。
保存加療
手術をしない治療方法としては以下の物があります。
・薬物療法
・装具療法
・注射療法
・運動療法
個別に説明していきましょう。
薬物療法
腰部脊柱管狭窄症と似たような治療になりますが、一つ大きな違いがあります。
症状の項目でも説明したように腰痛や下肢痛といった「痛み」が強いことです。
そのため、主な治療は「痛み」をとることです。
痛みをとるために主に以下順番で薬を処方し、経過を診ることが多いです。
①NSAIDs(ロキソニン、セレコックス)
本当に一般的で整形外科ではよく使われる痛み止めです。これは炎症を取る薬となっているので局所によく効くのが売りです。
これと同様の効果がある薬としてボルタレン座薬などの座薬を処方する事が多いです。座薬の方が効果が強いためです。
②プレガバリン(リリカ)
これは神経細胞の過剰興奮を抑えることにより疼痛、痺れを抑えてくれます。副作用で眠気が出る方もいますが、ヘルニアの場合は疼痛で寝れていないことも多いため、最初から100mg/日(最小量は25mg)から始める事が多いです。最大300mg/日ですが、ここまでの量を飲むまでに他の治療に移行します。
③トラマドール/アセトアミノフェン(トラムセット)
これはトラマドール(非麻薬性鎮痛剤)とアセトアミノフェンという薬の合剤になります。飲み薬ではこれが一番強いです。ただ、その分副作用も強いため、少ない量からはじめ、徐々に内服量を増やします。また副作用を抑える薬も同時に処方します。これを飲んでも抑えられない痛みはブロック注射や手術を勧めます。
装具療法
装具は薬物療法と並行してほとんどの方に使用して頂きます。
長軸方向へのストレスを減らす事が痛みを取るためには重要になるため、コルセットで体幹を支えてもらう事はとても有用です。
マックスベルト(https://www.sigmax-med.jp/medical/products?syllabary=m)でも有用なんですが、やはり患者自身専用のダーメンコルセットの方が効果があります。
ダーメンコルセットというのは下の写真のようなものです。これは患者さんの体に合わせて採型するため、患者さん専用のものとなります。
(http://www.itouseikei.com/sports/supporter03/index.htmlから写真をお借りしました。)
注射療法
主に行う注射はトリガーポイント注射と神経根ブロックの2つです。
○トリガーポイント注射
これは腰痛があまりにも強い時に行います。腰椎椎間板ヘルニアの腰痛の機序で説明している傍脊柱起立筋などの疼痛に対し行うと効果があります。
つまり、神経の痛みなどを取るというよりは筋肉や靭帯による疼痛を取ることが目的となります。
私は局所麻酔に加えてノイロトロピンという薬を混ぜて使用しています。このノイロトロピンという薬は生体内に備わっている痛みを抑える神経の働きを高める作用に加えて、末梢の血流を改善する効果があります。
ただ、残念な事にこの注射は効果がそれほど続きません。
○神経根ブロック
これは主に下肢痛に対して行います。
局所麻酔に加えてステロイドを注射することで神経の炎症を取り、疼痛を改善させます。ただし、ヘルニアが小さくなるわけではないため再度痛みが出ることがあります。その場合は手術を勧めています。
運動療法
これは体の柔軟性や体幹の筋力を鍛えることが治療の目的となります。
しかし、発症したばかりの急性期には基本的に適応外となります。
亜急性期(受傷2週間程度)から慢性期に入った段階で行います。
①ストレッチ
まずは軟部組織(主にHamstring:太ももの裏)の柔軟性を鍛えることと、股関節の可動域を改善することを行います。
②Stabilization program
腹筋や背筋といった体幹を鍛えるトレーニングです。痛みを取るというよりは今後ヘルニアを再発する可能性を下げるためのトレーニングになります。
腰椎椎間板ヘルニアは手術しても手術しなくても30%の確率で再発する可能性があります。体幹の筋力が上がると椎間板へのストレスが軽減するため、再発のリスクが下がります。
以上が手術をしない保存加療となります。
ではでは!!
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