外反母趾
今回は外反母趾について説明しましょう。
先日、腰部脊柱管狭窄症で外来保存加療をしている患者さんに外反母趾について相談されたため、今回の話題にすることにしました。
その際にとても印象に残った言葉が
「先生、外反母趾で痛いんですが何科に行ったらいいですか?」
あなたの目の前の科が相談すべき科です・・・
(ただし、病院が所属している大学の医局によっては皮膚科や形成外科の可能性もあります。)
これは私の見解ですが、外反母趾という病気があまりにも世間に溢れており、「医療では解決できないもの」あるいは「自らが我慢すべきもの」ととらえている人が多く、病院に行く人が少ないことからこのような事態が起きるのではないかと思います。
酷くなる前に整形外科に相談しましょう!!
では詳しく説明していきましょう。
外反母趾
病態
・第1MTP関節(第1中足趾節関節:母趾の基部の関節)が外反(外側が反る)変形をきたした状態のことを言います。
ただし、もっと正確に説明するなら母趾の回内、母趾種子骨の外側偏位、第1中足骨の内反、第1中足骨の回、第1足根中足関節の形態と過度可動性も関与してますが、煩雑になりすぎるのでこれは無視してお話します。
〜その他基本情報〜
・ハイヒールなど履物が発症に大きく関与していることが分かっています。また、扁平足も影響があるとの指摘もあります。
つまり、扁平足の女性はリスクが高いと言えます。
・変形が進行すると下図のaのように外反が進むと母趾と第2趾が交叉しします。またbのように骨が突出し、cのように第2趾が背側に変形します。
診断
実は診断は非常に簡単です。
「見たら分かる!」
母趾が外反変形し、タコができたり、皮下に突出した骨が見えたりするので分かります。
さらに補助として(重症度を判定するために)レントゲン検査で母趾列の変形を見たりすることはあります。
①の角度が20度以上だと外反母趾と診断され、40度以上で重症となります。
治療
外反母趾の治療は靴の指導、運動療法、装具療法、薬物療法を適宜組み合わせて行う事が基本となります。どうしようもなくなったら手術を行います。
まぁ、靴の指導が治療と言えるかは不明ですが、最も簡単で効果もある程度期待できるため治療に入れさせて頂きました。
靴の指導
なぜ靴が重要なのかというと靴を履く人と履かない人が混在したセントヘレナ島で1960年代におこなわれた約3000名の住民調査で、靴を履いて暮らした年数が長いほど外反母趾変形の率が高いことが報告されたからです。
日本人の間でも1970年代に急激に外反母趾が増えたとの報告もあります。
ではどういった靴がいいのか?基本となるのは以下の3つです。
- トウボックスに適度な余裕があって足趾の動きが妨げられないこと
- 後足部がしっかりホールドされていて不必要な遊びがないこと
- 踵がなるべく高くないこと
ハイヒールは以ての外という事になります。男性は問題ないと思いますが、女性は現実的に上記の靴のみで生活しろというのは難しいと思います・・・
そのため、「普段は可能な限り踵が低く、先端が細くない靴を履き、特別な時におしゃれなの靴使うようにしてください。」とお勧めしています。
運動療法
外反母趾は関節拘縮やバランスの悪い筋収縮が問題と考えられているため、それを改善させる運動(外転させる)が効果的と考えられます。
自分の意思だけで母趾を外転させることができるのが最も効果的と考えられますが、なかなか難しく、初めはうまくできないことが多いです。
そのため、下図のような運動(Hohmann(ホーマン)体操)を指導します。
(母趾にかける紐はなんでも良いですが、太い方が痛くないので幅広いものを勧めます)
装具療法
運動療法でもあるように母趾を外転させることが改善の一歩となります。
そのために以下の装具があります。
基本的には夜間につけるよう指導することが多いです。簡易的なものはそれほど重症ではない症例に使用し、がっつり固定する装具は重症の一歩手前の患者に使用します。ただ、重症になると装具は逆に痛みの原因となるため使用しません。
簡易的な装具でも自分専用のものを作るには病院を受診する必要があるため、そんな暇がない!という方は下記のものなど、市販のもので試してみると良いでしょう。
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今はネットで様々な装具が売っているので試してみるのもいいと思います。しかし、個々の重症度に応じた装具が必要なため、やはりまずは病院を受診することを勧めます。
薬物療法
以上を踏まえて言えることは
ハイヒールなどの先が細く、かかとが高い靴を履かないようにして運動療法を行い予防する
ことが最も重要と考えます。
(手術加療については今後、お話しさせて頂ければと思います。)
今回はこの辺りでおしまいにさせていただきます。
ではでは!!
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