整形外科医の勉強日誌

若手整形外科医が勉強したことや日々思ったことを徒然に書いてます。ついでに誰かの為になれば幸いです。

歩くとお尻が痛い、足が痺れる。腰部脊柱管狭窄症って治るの??手術する場合

歩いた時にお尻や足が痛くなったり、痺れる病気として腰部脊柱管狭窄症がよく指摘されますが、手術しない治療方法に関しては前回の記事をご覧ください。

今回は手術に関して説明します。

手術で治る症状、治らない症状

まず、手術の前に私が必ず患者さんに説明することがあります。

それは手術で良くなる可能性がある症状良くならない可能性がある症状です。

良くなる可能性がある症状・・・痛み

良くならない可能性がある症状・・・しびれ、筋力低下、膀胱直腸障害

この違いは何か?

痛みは今現在、神経が圧迫されていることにより出ている症状です。一方でしびれや筋力低下、膀胱直腸障害は神経が圧迫された事により神経そのものが傷んでいることにより出ている症状です。

残念ながら現在の医療において

手術で圧迫を取ることはできても、神経そのものを治す事は出来ません。

そのため、しびれや筋力低下、膀胱直腸障害は手術をしても改善せず、症状が残る可能性があります。

ただ、しつこいくらい「可能性」と言っているのは治るかどうかは手術をしてみないと分からないからです。

実際、多くの患者さんをみていると痺れや筋力低下も改善している方が多いですが、やはり症状が0になったという方はそれほど多くありません。

以上の事から手術を勧める際には

「これ以上悪くなる前に、現状を維持するために手術をしましょう」

と説明しています。

手術のタイミング

ではいつ医師は手術を勧めるのか。

  • すでに下肢筋力低下があり、日常生活動作に支障を来している
  • 膀胱直腸障害が出ている
  • 著しくADL制限を来すほどの間欠性跛行または安静時にも疼痛・しびれがある
  • 長期間の保存加療で改善が認められず、患者や家族が手術を希望した時

以上の4つが主なポイントとなります。

しかし、上記でも書いた通り、筋力低下や膀胱直腸障害、しびれが治るかどうかは手術をしてみないと分からない事も併せて説明しながら手術を勧めています。

手術の方法

手術には2種類あり、大きく分けると除圧術と固定術があります。

除圧術

文字通り、神経が圧迫している要因を取り除く手術になります。

神経を圧迫する因子としては

http://www.manmori-orthopedics.com/腰部脊柱管狭窄症って何?/#more-85

でも説明しているように椎体後縁の骨棘、椎間板の膨隆、黄色靭帯の肥厚、椎間関節の骨棘が挙げられます。

そのため、よく行われるのは椎間関節の骨棘を切除し、さらに黄色靭帯を除去する方法です。椎間板の膨隆は症例毎に状態を確認した上で切除するかどうか決めます。

椎体後縁の骨棘はよほどのことがない限りそのまま置いておきます。(合併症のリスクが高くなるため)

写真の黄色で示している部分を除去します。

すると切除した部分の面積だけ神経の通り道が確保でき、神経の圧迫が取れます。

術式は椎弓切除術が主に行われることが多いです。

その中で顕微鏡を使うか、内視鏡を使うかなどによってさらに細かく分かれてます。上の写真は手術用の顕微鏡を用いて行っています。下のような顕微鏡を使います。

http://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/手術用顕微鏡/

内視鏡と顕微鏡の違い最も特徴的なものは傷の大きさになります。もちろん傷が小さい内視鏡の方が傷の治りが早く、術後入院期間は短くなります。一方で顕微鏡は視野が大きく取れるため、除圧不足になりにくいという特徴があります。

どちらも優れた手術方法なため、施設によって慣れた方法で行っていることが多いです。

固定術

固定術も文字通り骨と骨を金属で固定してしまう方法です。椎体にScrewを打ち込み、それをLodと言われる棒で連結させるものです。

これは椎体すべり症に伴う狭窄症に対し行うことが多いです。なので詳しくは椎体すべり症の項目を今後用意するのでそちらでご覧ください。

 

 

以上、腰部脊柱管狭窄症の手術について説明しました。

ではでは!!

 

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